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本の紹介『君と、眠らないまま夢をみる』遠野海人(著)

読書

『君と、眠らないまま夢をみる』遠野海人(著) メディアワークス文庫

「さよなら」ができないすべての人に。4,355作品から選ばれた感動作

 高校生になった智成の日常は少し変わっている。死者が見えるのだ。吹奏楽をやめ、早朝バイトをする智成は、夜明けには消えてしまう彼らとの、この静かな時間が好きだった。
 だが、親友の妹・優子との突然の再会がすべてを変える。

「文化祭で兄の遺作を演奏する手伝いをしてくれませんか」手渡されたそれは、36時間もある壮大な合奏曲で――。
 兄を失った優子。家族と別れられない死者。後悔を抱える智成。凍り付いていたそれぞれの時間が、一つの演奏に向かって、今動きはじめる。

出版社より

高校3年生にの主人公、智成には止者(死者)が見える特殊な能力を持っている。
早朝の新聞配達のアルバイトの後、夜明け前から日の出にかけて、止者との共存。
そんな静かな日常を日々過ごしている。

智成は幼い頃からトランペットを習っており、作曲の才能を持つ親友の恭介と出会う。
智成は恭介が曲を作るたびに、その曲を演奏する。
いつしか恭介の妹の優子も加わり3人だけの演奏会が行われていたが、

突然の別れ

ケンカ別れしたまま親友を失った智成。
恭介が事故で死んで以来、智成はトランペットを置いてしまう。

亡き親友の妹・優子との再会、そして彼女に渡される親友の遺作「真空で聞こえる音」
演奏時間36時間という前代未聞で壮大な合奏曲の楽譜。
そこから停まっていた時間が動き出す。。。

感想(ネタバレ注意)

36時間のマラソン演奏会。
一度も途切れることなく演奏し続けるという壮大なプロジェクト。
文化祭での演奏を模索するが、顧問の先生には生徒の体力的な面の心配であったり、学業を疎かになるといった事由から看過できないと了承をもらえない。
それでも、止者(死者)の助力を得て実現に向けて進み出す。
演奏会では、視点がそれぞれの登場人物に切り替わりながら、それぞれの心情が交錯しながら紡ぎ出される音楽。
演奏を終えた後、止まってた彼らが前に進んでいく。
何かが「終わること」それでも次に「進むこと」
不器用に前に進んでいく登場人物たちを応援したくなる小説です。

Ken
Ken

「止者(死者)」の存在が、ホラー要素があるのかな?と思いましたが心温まる青春小説です。
ホラーが苦手な人も安心して読んでください