読書好きな塾講師がお気に入りの本を紹介するブログです。
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本の紹介『ラン』森 絵都(著)

読書

『ラン』森 絵都(著) 角川文庫

9年前、13歳の時に家族を事故で亡くした環は、ある日、仲良くなった自転車屋さんからもらったロードバイクに乗ったまま、異世界に紛れ込んでしまう。そこには死んだはずの家族が暮らしていた……。

出版社より

暗いテーマなのかなと思いましたが、
ファンタジーな要素が溶け合い、暗い印象を払拭してストーリーは進んでいきます。

夏目環という22歳の女の子が主人公。
夏目環は13歳で両親・弟を事故で亡くし、育ててくれた叔母さんも20歳の時に病気で亡くなる。
環の心の安らぎは、自転車屋の紺野さん、その飼い猫こよみとの楽しいひととき。
しかし、こよみも病死し紺野さんは実家に帰ることに。
その後は天涯孤独、大学も中退し無気力な日々を過ごしている。
紺野さんから譲ってもらった自転車「モナミ1号」で偶然に死後の世界にたどり着くと、そこで見たのは死んだ自分の家族。
会いたかった家族との楽しいひと時。
けれども、それも長くは続かない。。。

感想(ネタバレ注意)

環の視点で、文章も環の語り口調で進んでいきます。
「〜だよね」の口調が印象的。

モナミ1号は、本来の持ち主となるはずの、紺野さんの息子さんを見つけたため返すことに。
モナミ1号がなくても40kmを6時間で走破することできれば死後の世界にたどり着き、家族に会えることを知り、スカウトされたランニングサークルへ入ることに。

サークルでは個性的な登場人物が多く、また死後の世界に入るためのオカルト的な条件があったり、意外と情報量が多く、時々頭を整理しながら読みました。

環は徐々に長距離ランができるようになり、体力的な成長とともに、精神的にも家族の死を乗り越え前向きになっていく姿は胸に染みます。

Ken
Ken

「元気」がもらえるファンタジーな小説で若い世代の方に手にとって欲しい本です。
児童文学で様々な賞を受賞している森絵都さんの小説で、文体が読みやすいので、読書初心者の方にも非常におすすめです。