『コールドゲーム』荻原浩(著) 新潮文庫
高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく……。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前、クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが――。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。
出版社より
中学生の時にイジメにあってたクラスメートが月日を経て復讐を行ってくストーリー。
いじめをしてた側の視点で物語は進んでいきます。
中学の頃のクラスメートが出席番号順に次々に襲われていき、犯人として浮上したのは中学時代のひ弱でいじめの標的になっていたトロ吉。
犯人として疑われているトロ吉は、月日を経てモヒカンヘアで迷彩服を着た大柄な男に様変わりしてた。
警察に相談すれば解決するかもしれないが、イジメがバレるのが怖く言い出せない。
報復もエスカレートしていきついには死者が。。
いじめについて考えさせられる小説です。
感想(ネタバレ注意)
いじめの復讐劇が進むにつれて、「大男」「モヒカン」「バイクを乗り回してる」「武道の達人」と復讐者トロ吉の虚像が一人歩きしていくサスペンス的なところは引き込まれた。
主人公は、トロ吉を直接いじめたことはなく、かといって止めようともしなかったというポジション。いじめに加担はしていないのだから許されるであろうとそんな心境の主人公だが、いじめを止めてくれると信じてたトロ吉からはいじめの加害者と同じくらい憎まれていた。
主人公のような「傍観者」の立ち位置。
倫理的には「やめろよ」の一言を言えるように、教育現場では指導されるのでしょう。
今のご時世、厄介ごとには関わらない方がいい、そんな風潮もある時代なので、突き詰めると非常に難しい問題かと。
虐められてた側が報われないラストはなんとも。。。

イジメをしていた側は忘れていることも、イジメられていた側はいつまでも覚えている。いじめについて改めて真剣に考えさせられました。